ChatGPTとは？仕組みやメリットをわかりやすく解説

ChatGPTは現在、最も注目を集めているAIによる対話形式のチャットボットのひとつです。このAIは、人間のように多種多様な質問に答え、その都度学習しながら課題に対処することができることから、多くの場面で利用されています。この記事では、ChatGPTとは何かをはじめ、その仕組みや使い方、最も人気のある利用例、どのようにトレーニングされているのかなどについて詳しく説明します。 ChatGPT（ちゃっとGPT）とは、Chat Generative Pre-trained Transformer（生成可能な自動学習済み変換器）の略称で、OpenAIが開発したAI（人工知能）によるチャットボットです。ChatGPTは無料で利用できるということもあり、公開からわずか2か月でアクティブユーザー数は1億人を突破するなど、今や世界中で利用されている最も人気のあるAI検索エンジンのひとつです。 ChatGPTは学習済みのAIを活用するジェネレーティブAI（生成系AI）のひとつで、自然な発音でテキストを作成し、わかりやすくいうとボットと自然に人間を話しているような会話をすることができます。会話の内容も質問者の意図を正確に理解し、文脈を把握し、大量のデータから情報を引き出すことでさまざまな性質の質問に答えることができます。 また、LLM（Large Language Models）と呼ばれる大規模言語モデルの一種であるGPT（Generative Pre-trained Transformer）というOpenAI社が開発した言語モデルを利用しており、主に言語パターンの分析を通じて、AIが言語を深く理解できるようにする機械学習技術上で動作しています。 最初に公開したGPT-3.5を利用したChatGPT-3.5は無料のサービスでしたが、2023年3月に公開されたGPT-4.0を利用したChatGPT-4.0を含むChatGPT Plusは有料サービスとして提供されています。これらは既存のテキストに加えて新たに音声・画像認識機能が発表されたことで、音声入力や画像の生成も可能になりました。 そして、日本国内でも2024年4月にOpenAI Japanの始動に合わせて、日本語テキストの翻訳と要約の精度が高いなど最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供が開始されると発表されています。 さらに、2024年6月10日には、AppleがChatGPTの技術を自社製品（iPhone、iPad、Mac）に統合し、「Apple Intelligence」の機能として提供すると発表しました。リリースは2024年の秋頃を予定していて、この機能により画像生成や文章作成、音声認識、文章の要約などが可能になります。 ChatGPTは、AI開発に力を入れているアメリカのOpenAI社によって作られ、2022年11月に公開さました。OpenAIはサンフランシスコを拠点としているAIスタートアップ企業で、サム・アルトマンとイーロン・マスクらによって2015年12月に設立されました。（イーロン・マスクは2018年に退社） このOpenAI社は、人工知能の研究において主要な目標とみなされている汎用人工知能（AGI）を普及・発展させるために、日々AI分野の研究を行なっており、これまでの中核的な業績はAI言語モデルである「GPT」と、「ChatGPT」です。また、OpenAIはマイクロソフトから多額の支援を受けており、マイクロソフトでは「Microsoft Copilot」と呼ばれる自然言語処理技術を用いた検索エンジン型のチャットボットをはじめとするOpenAIの技術を使用したいくつかのサ―ビスが提供されています。 現在、ChatGPTはその機能性と利便性から、世界中で利用されています。最近では、ユーザーの依頼に応じて旅行のスケジュール作成や履歴書の作成、複雑なデータやコードの処理、具体的なキーワードや条件を提示することで理想的な記事やSNS投稿などのコンテンツ作成、そして翻訳や要約など、その使用用途は実に多岐にわたります。 ChatGPTのチャットボットは、ユーザーの問い合わせの具体的な詳細を理解し、文脈を区別して答えを提供し、たとえ間違ったとしても自分の過ちから学習することができます。このようにChatGPTにはさまざまな利用例があります。 ChatGPTの仕組みは、基本的に予測アルゴリズムを使用して動作します。ボットはそれまで学習したデータとユーザーの質問を比較することによって、ユーザーの質問に対する答えとして最もマッチする理想的な単語を順番に導き出して表示します。 GPTは、人間からのテキストを使った指示に対する回答を自然に生成するAIで、元々は小説の自動生成やゲーム内での会話を生成する用途で開発されました。GPTのAI言語モデルはディープラーニング（深層学習）技術を使用しており、インターネット上にある膨大な情報を学習し、複雑な語彙や表現も理解することができ、可能な限り正確に人間の応答と一致することを目指しています。 また、前述のGPT-3.5とGPT-4.0は学習済みのAIであるため、新たにAIを学習させる必要がないため、ユーザーはシンプルに質問を投げかけて回答を得るだけの仕様となっています。ただ、もし回答が間違っていた場合は間違っていることを伝えると、さらに学習を進めてより適切な回答が得られます。 ChatGPTはさまざまなメリットがある一方で、事実とは異なる答えを生成する場合があったり、個人情報の収集などChatGPT仕組み上、あらゆる犯罪に悪用されてしまうような用途が次々と指摘されるなど、いくつか問題も起こっているのも事実です。ChatGPT（チャットGPT）はその仕組み上、会話内容がOpenAI社に利用される可能性があるなど情報漏えいの危険性があるため、一部の大手企業では利用が禁止されています。 ChatGPTを利用するには、インストールなどの複雑な手続きは必要なく、まず基本的な手順を実行するだけです。こちらではChatGPTを使用する際の始め方を紹介します。 ChatGPTの公式サイト（https://chat.openai.com）にアクセスし、GoogleもしくはMicrosoftのアカウントやメールアドレスでログインしてアカウントを作成します。メールアドレスで登録する場合は8文字以上のパスワードの設定が必要になります。 利用規約を読み、同意します。 登録したメールアドレス宛にOpenAIから確認メールが届きます。メール内にある「Verify email address」から登録画面に移行し、名前と電話番号を登録すると、6桁の認証コードがSMSで送られてくるので入力すると完了となります。 ChatGPTの公式サイトから質問をしてみましょう。 ChatGPTとのコミュニケーションでは、より直接的な回答を得るためにも質問は一度につきひとつだけとし、内容は具体的かつ明確にすることを意識しましょう。もし、質問の内容が曖昧だったり、複数の質問をした場合は、誤解を招いて全く関係ない回答が出たりする可能性があります。俗語や口語などのくだけた表現はできるだけ避け、文法的に正しく、完全な文章を作成することを心がけることで、ChatGPTはあなたのことをより正しく理解することができるようになります。 また、ChatGPTは公式ウェブサイトだけでなく、アプリを通して利用することが可能です。2023年5月にiOS端末向けアプリ、同年7月にAndroid端末向けのアプリがリリースされており、それぞれApp storeとGoogle Play Storeからダウンロード可能です。プラットフォームに多少の違いはありますがウェブサイトとそこまで遜色はなく、アカウントを作成し、ログインすることで利用できます。ウェブサイトと同様に画面下部にテキストを打ち込む部分があるので、打ち込むと返答が返ってきて、音声入力にも対応しています。 {SHORTCODES.blogRelatedArticles} ChatGPTはさまざまな使い方ができますが、多くの人々は一体何に使ってるのでしょうか。以下ではChatGPTの最も人気のある利用例を紹介します。 コンテンツ作成：ChatGPTは、記事や小説、台本など文章作成に関連するほぼ全ての形式とトピックであたかも人間が書いたような文章を書くことが可能です。ボットは、アイデアを生成し、キーワードを使用して、ターゲットとなる読者層に合わせてコンテンツを改善することができます。現在、多くの人が記事やSNSへの投稿、さらには学術的な論文を書くためなどにも使用しています。ただし、注意点としてはChatGPTはまだ改良段階であり、ChatGPTが書く文章は過度に単語が多かったり、特定のフレーズを使いすぎる場合があります。 コード作成：ChatGPTは、必要な情報を提供することでコードを書くことも可能です。使用したいプログラミング言語と生成したいコードに関する説明をできるだけ正確に伝えることが重要といえます。また、プログラミング言語を指定して質問するとサンプルコードを得ることもできます。さらにはエラーが発生するコードを質問として入力すると、原因を教えてもらえます 履歴書や送付状の作成：ChatGPTに履歴書や送付状の作成を依頼すると、好みに合わせた文書を作成してくれます。最近では転職活動をする際などに重宝されています 翻訳：ChatGPTはGoogle翻訳や他の翻訳サイトと同じようにさまざまな言語のテキストを翻訳することが可能です。ただし、翻訳の質に関しては各言語の需要によって依存するので、英語などメジャーな言語の品質は特に問題ありませんが、マイナーな言語の場合はあまり期待できない可能性が高いです。 要約：ChatGPTに直接テキストを貼り付ける、もしくはオンライン上の記事のURLをコピーすることで、そのテキストの要約を書くように依頼することができます。また、表現する語調を選ぶことで、同じ文章でも複数の要約バージョンを生成するように依頼することもできます。 アプリ作成：ChatGPT自体ではアプリを作成することはできませんが、アプリ作成の手順を説明し、必要な機能のコードを提供することができます ChatGPT には、いくつかバージョンが存在しており、一番最初の2022年11月に公開されたのはGPT-3.5です。次いで2023年2月に有料版であるChatGPT Plusが発表され、2023年3月にChatGPT-4が公開されました。 さらに、2024年5月13日には、テキスト、音声、ビデオを扱うマルチモーダル機能と高速応答能力を備えた、ChatGPTの新モデル「GPT-4o」が発表されました 。これにより、より自然で人間らしい対話が可能になりました。 従来のChatGPT-3.5は、主にテキストを入力することでテキストによる答えを生成しましたが、ChatGPT-4の場合はテキストに加えて画像も扱うことが可能になりました。ChatGPT-4が兼ね備えているテキストと画像の両方を扱う機能はマルチモーダル機能と呼ばれ、グラフやワークシート、分析が必要な他の視覚的資料をアップロードする際に非常に役立ちます。 また、ChatGPT-4は処理速度が速いのも大きなメリットです。たとえば、人間からテトリスなど有名なゲームのソースコードの作成を指示された場合、わずか数十秒でソースコードを出力することができるようになりました。 このChatGPT-4やGPT-4oにアクセス可能なのは、チャットボットの有料サブスクリプションモデルであるChatGPT Plusの加入者をはじめ、ChatGPT API（GPTのアプリ拡張機能）を使用しているユーザー、Bing AI Chatのユーザー、法人向けであるChatGPT Teamの加入者となっています。なお、ChatGPT-4やGPT-4oの料金は月額20ドルのプランです。月額20ドルのプランの場合は、API呼び出しが無制限だったり、アクセス集中している場合でも優先的に利用できるなどのメリットがあります。 また、ChatGPT-4やGPT-4o以上に期待されているのがChatGPT-5です。その存在は現状、まだ噂レベルでしかありませんが、推測では、機械やコンピュータがどれだけ人間を模倣できるかを確認するためのチューリングテストに合格し、人間と遜色ないレベルでコミュニケーションが可能な汎用人工知能（AGI）の域に達するだろうと言われています。 ChatGPTは、主に人間のフィードバックからの強化学習（RLHF）と呼ばれる手法を使ってトレーニングされており、具体的にはChatGPTのボットは出力された文章が適切なものかを人に代わって評価する「報酬モデル」と呼ばれる評価モデルと、人間の指導の両方を使用して開発されています。 現在、AIマシンをトレーニングさせる際に強化学習は最適な手法だと考えられています。強化学習は、まずAIに一般的な大量のデータをインプットさせることから始まります。AIはデータとやりとりしながらそのパフォーマンスを評価し、報酬かペナルティを与えるかを決めます。次のステップでは、AIにより複雑な情報を与え、上記と同じ報酬モデルで評価される特定のタスクを実行させます。しかし、AIに報酬とペナルティのどちらかを判断させるのか難しい複雑なケースの場合は、最終的に最適化するために人間のフィードバックが必要となります。 ChatGPTの場合、人間のAIトレーナーがボットと会話し、ユーザー役とAIアシスタント役を演じ、AIの反応をランク付けしました。このようにして、トレーナーはAIに対してアドバイスと注意点を提供しながら、より柔軟にわかりやすく教えることで、短期間で学習することができました。 この強化学習のトレーニングモデルは、ボットが自然な言葉を生成するだけでなく、誤った認識をしている場合には異議を唱え、フォローアップの質問に答え、間違いを認めてそこから学ぶのを手助けするなど、ChatGPTがより注目を浴びるために役立っているといえるでしょう。 これまで述べてきたことからChatGPTは、最先端のテクノロジーを駆使した優れたツールということがわかりました。しかし、ChatGPTは本当に安心して使用できるのでしょうか。以下ではChatGPTの信頼性や安全性について解説します。 現状のChatGPTは、何の問題もなく、使用できるほど信頼性が高いツールとは言い難いです。ChatGPTの回答は、ボットがデータベースから答えとして最適なものを探して表示するいくつかのパターンに基づいているので、仮に独特な言い回しで質問された場合は、質問の意図を誤って推測してしまい、間違った回答を提供してしまう可能性があります。 ChatGPTは人間の言葉を模倣できるにもかかわらず、回答の際に極端に文字数が多すぎたり、特定の単語を使いすぎる傾向があるため、機械的で不自然な印象を与えてしまいます。そして、ChatGPTが偏った情報源や間違った情報源から答えを引き出していた場合、その情報源を辿ることができないのも課題です。このようにChatGPTは、決して信頼性が高いとはいえず、ChatGPTをより安全に使うためにはさまざまな点に注意しながら使用することをおすすめします また、安全面についてはデータ漏えいの脅威にさらされる可能性は拭いきれないのが現状です。通常、ChatGPTは提供された情報を収集し、そこから学習します。一方、ChatGPT上での会話は、設定でチャット履歴とトレーニングを無効にしない限り保存されてしまうので、利用者が知らないうちに自分や他人の情報を漏らしてしまう可能性が出てきます。保存された情報は、トレーニングのためにOpenAIに利用されてしまう可能性があり、最悪の場合は入力された大量の個人情報をもとにChatGPTがそれらの人々を追跡してプロファイリングし、収集した情報を電話番号やメールアドレスと関連付けることができてしまいます。 さらにChatGPTには、悪意のあるコンテンツを作成するAIボットの能力があります。サイバー犯罪者達はChatGPTを悪用して、人になりすますためにトレーニングを行なってより高度なフィッシング攻撃やマルウェアの作成、独自のAIモデルを開発する可能性があります。このようにChatGPTの応答は、全て正確とはいえず、収集したデータが不十分であるなど場合によっては、攻撃的、性差別的、人種差別的な表現になったり、誤った情報を作り出す可能性も十分あります。 これらの問題に対して現在、多くの国がAIが運営するツールやプラットフォームの使用に関する規制の導入を検討しています。また、開発元のOpenAIも、安全性が低いコンテンツを検出したり、ブロックしようと試みるなど、各問題を解決するために新たな機能の開発に取り組んでいます。 今回は、ChatGPTについて詳しく紹介しましたが、実はAI言語モデルを開発しているのはOpenAIだけではありません。以下では、ChatGPTに代わるAI言語モデルをいくつか紹介します。 Microsoft Copilot（旧Bing AI）：マイクロソフトが開発したチャットボットで、OpenAIのGPT-4バージョンをベースに構築されています。Copilotの主な特徴は、Bing検索エンジンから最新の情報を利用できることで、GPTを利用した検索エンジンに変わります。また、Copilotは、ボットがインターネット上から引き出す情報のソースを提供できます。 Gemini（旧Bard）：GeminiチャットボットはGoogleの大規模言語モデルであるLaMDA（Language Model for Dialogue Applications）上で動作します。ChatGPTと同様、質問と回答ベースで動作しますが、Google検索を通じてインターネット上から直接情報を引き出し、最新の情報を提供することもできます。 ChatSonic：インターネット上の情報にもアクセスできるWritesonicのAIチャットボットです。GPT-4をベースに構築されており、音声による検索が可能で、テキスト入力をもとにAIがアートを生成することもできます。ただし、会話能力に関してはChatGPT-4ほどではないと言われてます。 Jasper Chat：Jasper AIによって開発されたJasper Chatは、ChatGPT – GPT-3.5と同じAI言語モデルを使用しています。主にマーケティングやセールス、ソーシャルメディアキャンペーンの投稿用テキストを生成するために、様々な業界の企業向けに特別に設計されています。 YouChat：You.comが作成したチャットボット検索アシスタントです。GPT-3というGPTの古いバージョンを使用しているため、ChatGPTと比較するとコンテンツ作成能力やコーディング能力はやや劣ります。ただし、インターネット上においては、テキストと画像の両方を処理できるマルチモーダル検索エンジンとして、より正確で幅広い検索結果を提供することができます。